トピックス Topics

さまざまなトピックスに分けて、扇子のこと、京都のことをご紹介致します。

京都の行事や祝い事と扇子

扇子の山二

祝儀扇『松竹梅』981

千年の都・京都では、扇子は単なる涼をとる道具ではなく、節目を彩る縁起物として人々の暮らしに寄り添ってきた。
扇子の形は、要から放射状に広がる「末広がり」。この姿が「未来が開け、繁栄していく」ことを象徴するとされ、祝いの席には欠かせない存在となった。

京都では、結婚式や成人の祝い、商売始めなど、人生や仕事の門出に扇子が用いられてきた。特に祝儀扇は、金銀の装飾や吉祥文様が施され、言葉にせずとも祝意と敬意を伝える役割を果たす。派手に主張せず、控えめな美しさの中に心を込める——そこに京都らしい感性が表れている。

また、祇園祭をはじめとする伝統行事では、舞や囃子、所作の中に扇子が登場する。舞妓や芸舞妓の舞、能や京舞において、扇子は季節や情景、感情までも表現する大切な道具であり、動きの一つひとつに意味が宿る。

茶道の世界でも、扇子は礼を示すための必需品とされ、床に直接置かず、自身と相手の間に置くことで「ここから先へは踏み込まない」という敬意を形にする。
このように扇子は、京都の行事や祝い事において、人と人との距離や心遣いを整える役割を担ってきた。

時代が変わっても、扇子に込められた願いや美意識は変わらない。
京都の行事の中で静かに受け継がれてきた扇子は、今もなお、祝いの場にそっと華を添え続けている。