どうして畳んだまま手に扇子? 皇室の方々が儀式や行事の際に、扇子を持っている理由が気になる!
TVや新聞、雑誌等で皇室の方々を拝見する機会が多いと思います。
儀式や行事の際は正装で参加されていますが、その手元にいつもお持ちになられているものがあります。それは「 扇子 」。
今回は「皇室」と「扇子」の関係についてのお話です。
畳んだまま扇子を持っているのはなぜ?
皇室では儀式や行事等で、女性皇族の方々は気品あふれる洋装を身にまとっています。その手元には 「扇子」を畳んだまま持たれています。
いつも華麗な装いと持ち物に注目が集まる女性皇族ですが、平安時代からの文化が現在でも数多く受け継がれています。その一つとして扇子があります。
日本では平安時代中頃に京都で生まれ中国に伝えられました。古くは扇(おうぎ)と呼ばれていた扇子は、儀礼や芸能でも用いられています。
明治時代には欧米文化が入り、皇族・華族たちの服装はこれまでの一般的な和装ではなく、洋装へと変わっていきました。手には扇子を持たれるというスタイルは、日本の皇族の方々は今も伝統を守り伝えられております。
一方、ヨーロッパにおける扇子の歴史は、17世紀の貴族女性の持ち物だと言われておりました。貴族の婦女子は大声で会話するのではなく、扇子で口元を隠し、静かに会話するのが一般的でマナーとされていました。また、当時はあおぐという実用的な役割だけでなく、恋の駆け引きやコミュニケーションをとるために「扇ことば」というジェスチャーを用いて、様々な意思疎通を図っていたとされています。舞踏会で、扇子を使って会話をしているようなシーンをよく見かけますよね。
皇族・華族の女性たちには、扇子を持つことが貴族の風習・マナーとされております。
今もその名残で、 女性皇族の方々が伊勢神宮へ参拝される際は、ロングドレスを着用し必ず手には扇子をお持ちになり、帽子をかぶられています。これが神前では正式な装いです。扇子は今も日本人になじみの深い道具であり、相手を敬い謙譲のこころを表したツールとして必ず持たれています。
扇子を使った挨拶は敬意を払った挨拶に
茶道や日本舞踊等、日本の伝統芸能の世界では、扇子を前に置いてお辞儀をすることで、大切なお道具や敬意を払うべき相手の間に境界線を引いて『結界』を作り、一段へりくだって挨拶をしていることになります。 扇子を置いての挨拶の意味は 「あなた」と「私」の間に神聖な結界を設ける、ということになります。
このように女性皇族の方々が洋装でドレスコードとして持っている扇子も、日本の扇子本来のルーツを掘り下げると、ただの飾りではなく、きちんと意味があるものになります。 一般の方でも、和服の時はもちろんですが、洋服の時でも、改まった場所で扇子を持って挨拶すること
は大人のマナーと言えるでしょう。
まわりの方々に上品で素敵なイメージを持たれるかもしれませんね
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